快楽亭ブラックの出直しブログ

孤高の落語家にしてディープな日本映画評論家・快楽亭ブラック師匠の情報を発信するブログです

07年10月15日

 久し振りにたっぷり寝た感じ。でも風邪は治らん。

 今日は新橋演舞場で昼夜を見るのだ。三ノ輪から東銀座は日比谷線で一本だがメチャ混んでいるので浅草から行く。小諸そばの山かけ丼セットで朝食、暫でゆず茶を飲み新橋演舞場に入ったらいきなり名古屋のユメスケ師の姿が見えた。そうか、今日は月曜、定休日なんだ。そっと近づき声を掛けて驚かす。それにしても最近、芝居や映画に行く度に友人にバッタリ逢うね。

 昼の部は勘三郎奮闘公演、3本立てに全て主演しちゃうのだ。

 「俊寛」、いけません。風邪のせいか頭がボーッとして集中出来ない。眠くて仕方ない。

 「連獅子」、前シテの狂言師の舞から間の宗論まですっかり眠ってしまった。体が睡眠を求めている。さすがに後シテはバッチリ目が覚めて見た。勘三郎の毛振りは普通は三十数回で千秋楽だと百回振るが、今日は普通の日で六十回、気合入ってますなァ。

 「文七元結」は今回のは山田洋次演出で期待していた。一幕目の長兵衛は限りなく落語に近く好感がもてたが、大川端からがいけない。作り過ぎ、リアリティのカケラもない。

 いつも中村屋の芝居を見た後は才能の違いに打ちのめされるが、今回初めて余裕で見下すことが出来た。「文七」の長兵衛はあっしの方がはるかに巧い。中村屋より巧いということは日本一といっていいかもしれない。

 長兵衛は博奕に狂い、借金まみれになって世間に顔出しも出来ず、今年最後の大勝負と出掛けて行ったが負けてスッカラカン、自己嫌悪に陥り死のうと思ったが死にきれず家に帰って来たのだ。

 それがお久の孝心によって五十両の金が出来た。娘の、女将の情を知り死ななくてよかったと実感しているのだ。そこに文七が自殺しようとしている。その文七にさっきまでの自分を見て、イヤでイヤでたまらなくなる。

 なんとか自殺を思いとどまらせたいのだが無教養の哀しさで論理的に説得出来ない。それで仕方なく、娘を売った身を切られるような切ない金だけど、叩きつけていかなければならなくなる。山田洋次も中村屋も、もっと言えばこの話のサゲに「お前さん、なんで見ず知らずの他人に五十両もあげたんだい」「うーん、あれが俺の人生一番の博奕だったかもしれない」とやっている家元も、博奕で地獄を見ていない人間が作る机上の空論だ。ますます自信がついたので、このネタで芸術祭大賞を狙うぞ。だから小林千穂記者、「ブラ様」と呼んでね。

 夜の部は中村屋と森光子共演の「寝坊な豆腐屋」。期待はしていなかったが、これが良かった。昭和37年の東京の下町を舞台にしていてどうということのない小品だが、あの時代の2本立ての添えもの映画の佳作という雰囲気だ。そういえば今日の公演も、昼の歌舞伎がメインで夜の部は添えものか。勘三郎はじめ扇雀、弥十郎、亀蔵らが演じる現代劇というのがそれだけで珍しくも楽しい。森光子はまるで衰えを見せないで達者なものだし、波乃久里子の人妻が、三七三の女将そっくりなのが笑えた。でもベスト1は米倉斉加年。この個性派揃いの芝居をビシッと一言で締める存在感とセリフの巧さに唸った。名優だ。

 カーテンコールを見ながら、何故今日のチケットを取ったんだ、何故千秋楽にしなかったんだと反省した。この芝居の千秋楽は盛り上がるよ。中村屋の芝居は千秋楽にドラマがあることが多いのに、8月がつまらなかったからって普通の日にしてしまうとは、見巧者のあっしとしては酷いミスをしたものだ。

 帰りに元祖札幌やでみそラーメンと餃子を食べ、9時に帰宅してTVの浅見光彦シリーズにギリギリ間に合った。

 今日最大のミスはメガネを忘れたこと。おかげで外出中、新聞も本も芝居の筋書も読めなかった。

 寝る前に筋書の山田洋次と中村勘三郎の対談を読んで、「文七元結」が何故つまらないかがわかった。二人共に長兵衛をどうしようもない困った奴ではあるが愛すべき存在で、こういう奴を排除する社会はギスギスして面白くないという。要するに長兵衛を見下しているのだ。だったらあっしは森崎東監督に演出を頼もうか。森崎監督はいつもアウトローと同じ視線に立って描いているから。

 いや、森崎監督に頼むまでもない。あっしの長兵衛はあっし自身なのだから。長兵衛を否定するということは自己否定になって、生きていけなくなっちゃうから、命懸けで長兵衛を演じなければならないのだ。

 山田洋次と勘三郎の悪口になってしまったが、「困った奴だが同じ社会にいてもいい」という思想は、「困った奴は排除してしまえ、もう顔も見たくない」という大作家先生と、その尻馬に乗った家元よりはずっとマシであることは言うまでもない。
  1. 2007/10/15(月) 23:36:13|
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二代目快楽亭ブラック

公演案内

8/29(金)
「夏休みバラエティー寄席、鬼畜だよ全員集合!!」

お江戸上野広小路亭[→地図
18:00開場/18:30開演
[出演]梅田佳声、快楽亭ブラック、立川談之助、元気いいぞう、坂本頼光、立川キウイ
[料金]前売¥2,200 当日¥2,500 ブラック団¥2,000
[予約・問合せ]ブラック 03-3803-3324

9/13(土)
「快楽亭ブラック毒演会」

浅草木馬亭[→地図
12:30開場/13:00開演
[演目]「道具屋松竹篇」「蛙茶番」「七段目」「大山詣り」
[料金]前売¥2,200 当日¥2,500 ブラック団¥2,000
[予約・問合せ]ブラック 03-3803-3324

9/14(日)
「快楽亭ブラック毒演会」

トリイホール(大阪)[→地図
12:30開場/13:00開演
[演目]「一発のオマンコ」「蛙茶番」「文七ぶっとい」「七段目」
[料金]前売¥2,200 当日¥2,500 ブラック団¥2,000 昼夜通し5000円
[問合せ]トリイホール 06-6211-2506

9/14(日)
「初代快楽亭ブラック生誕150年、川柳川柳・喜寿記念、川柳・快楽亭ブラック・ニセ親子会」

トリイホール(大阪)[→地図
17:00開場/17:30開演
[番組]「大ガーコン」川柳、「ジャズ息子」川柳、「演歌息子」ブラック、「川柳の芝浜」ブラック
[料金]前売¥3,200 当日¥3,500 ブラック団¥3,000 昼夜通し5000円
[問合せ]トリイホール 06-6211-2506

9/15(月・祝)
「快楽亭ブラック毒演会」

お食事処・楽(名古屋)[→地図
12:30開場/13:00開演
[料金]前売¥2,200 当日¥2,500
[予約・問合せ]片桐 090-3852-933 または、kblack.nagoya@gmail.com
※毒演会、二人会の通し券(前売・予約のみ)¥5,000もあります。

9/15(月・祝)
「川柳・ブラック二人会」

お食事処・楽(名古屋)[→地図
17:00開場/17:30開演
[料金]前売¥3,200 当日¥3,500
[予約・問合せ]片桐 090-3852-933 または、kblack.nagoya@gmail.com
※毒演会、二人会の通し券(前売・予約のみ)¥5,000もあります。

最新情報

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さらにパワーアップして帰ってきたブラック落語全集第二弾! 各¥2,000、全10枚予定となっております。また、前シリーズ『借金男』全10枚も絶賛発売中です。あわせてどうぞ!
【お取り扱い】
・ブラック公演会場 ・紀伊國屋書店新宿本店内ミュージックテイト ・浅草ヨーロー堂 ・横浜ジョイナス新星堂 ・市原栄光堂(京都) ・大十(大阪) ・落語天国(楽天市場)など

■ブラック落語、ダウンロード販売!!
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 今、誰も教えてくれない 日本の嗜み「粋ってどんな感じ?」
週刊朝日(朝日新聞社)'06.06.09
 「週刊図書館『ヤバイ話連発の落語集』」
週刊新潮(新潮社)'06.04.20
 「過激すぎる『タブー満載!』初めて落語になった『放送禁止落語』」
BREAK MAX(コアマガジン)'06.01
 「快楽亭ブラックインタビュー」(インタビュアー:吉田豪)
エンタクシー(扶桑社)'06.01
 独占告白手記Part2 救命率三割大動脈乖離手術顛末記「あぁ、生きてて良かった」
EX大衆(双葉社)'05.12
 石井輝男監督追悼「蘇る!エログロ時代劇5作の倒錯官能世界」
BRUTUS(マガジンハウス)'05.11
 「好きな映画を語らせろ。」
サイゾー(インフォバーン)'05.10
 座談会「“取り扱い要注意”〈放送禁止芸人〉大集合」
BUBKA(コアマガジン)'05.10
 「くらたま&ヨーコの恋愛劇場」ゲスト:快楽亭ブラック
エンタクシー(扶桑社)'05.10
 「二千万円借金地獄除名顛末記」

著書


『快楽亭ブラックの放送禁止落語大全2』(CD付)

¥1,800(税込)/洋泉社


『快楽亭ブラックの放送禁止落語大全』(CD付)

¥1,785(税込)/洋泉社


『借金2000万円返済記』

¥1,300(税込)/ブックマン社


『日本映画に愛の鞭とロウソクを―さらば愛しの名画座たち』

¥1,575(税込)/イーハトーヴ出版

ブラックかわら版

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