早朝からコインランドリーで洗濯、その間に日刊スポーツ、秋華賞の予想原稿、ラインクラフト、エアメサイアの馬連1点に前回スプリンターズステークスの配当金63200円を転がすと書く。
浅草名画座で3本立。
「独立愚連隊」亡くなった岡本喜八監督と対談した時、あっしが「独立愚連隊」シリーズは岡本喜八による日中戦争版「次郎長三国志」じゃあなかったのかと聞いたら、当人はそんな事考えもしなかったと言っていたが、今日この映画を見直して、独立愚連隊が全員戦死して佐藤允だけが生き残って鶴田浩二の馬賊の頭目に馬賊になれと誘われる。「泥棒になるのか」「泥棒は目的じゃあない。弱きを助け強きをくじく」「あっ、清水の次郎長か」「そう、次郎長よ」とちゃんと宣言しているじゃないか。このセリフを受けて2作目の「独立愚連隊西へ」で、リーダーは威張らない、部下は上に媚びない日本陸軍の理想郷、アットホームな左文字小隊が出来たのだ。どう見ても加山雄三が次郎長で佐藤允が大政にしか見えなかったものね。
作り手よりも観客の方が本質が見えているという好例だろう。
「網走番外地・悪への挑戦」嵐寛寿郎がいつもの鬼寅役でなくて出ているのからしてつまらないシリーズ中の駄作。ゲストの川津祐介も杉浦直樹や吉田輝雄に比べると断然影が薄い。ただうれしいのは今週がこれ、来週が「決着(おとしまえ)」、さ来週が「太平洋のGメン」と月末からの新文芸坐の石井輝男特集に先駆けて毎週こっそり石井輝男作品、それも来週からの2本は滅多にやらない珍品を上映してくれること。浅名兄貴、頑張ってるね。
「仁義なき戦い・代理戦争」このシリーズではこの作品が一番好き。なんたって小林旭がいい。存在感あり過ぎて他を圧する。加藤武のダメ組長、打本もいいけどね。
どうしてこんなにいい小林旭が、東映ではこのシリーズと「修羅の伝説」以外は冴えなかったんだろうか。泥臭い東映では粋な日活育ちの旭が生きなかったということか。
映画終わって十和田へ顔を出す。昨夜、フラ談次からのTELでおかみさんが11月に頼みたい仕事があるということだったが、これがガセ。ただあっしの事を心配してくれていただけだった。
「色々あったようだけど、落語家だからしょうがないわね」
そう、よく言ってくれました、おかみさん。
落語家なんだもん、何をやってもしょうがないのよ。落語家を世間の論理で糾弾するのはそりゃ野暮ってもんでしょうが。
大急ぎで地下鉄に乗り、ラピュタ阿佐ヶ谷へ。レイトショーまで続けて3本見るのだ。
「青春をわれらに」伊藤雄之助主演の日活版「破れ太鼓」といったところ。どってことない作品。そもそも今回の特集はまるで期待していなかった。ただ戦後公開された作品は全て見る、をモットーにしているあっしにとって未見の映画が多い今回の特集は見逃せない、ただそれだけだった。
「猫が変じて虎になる」ももちろん期待なんかしてませんでしたよ。小沢昭一は生命保険会社々員、クズ井久六。酒を飲んではからみ会社に迷惑ばかりかけている。上司に禁酒を誓い、薬代わりに酒を飲み住民がみな長生きをしているので医者いらずの寿村へ生保の勧誘にやってきたが殺し屋に間違えられて。
主人公が酒でしくじり禁酒しているクズ井久六という名。これでピーンとこなきゃあ落語通じゃない。利権の為に邪魔者を殺そうとする村のボスの名が大家、殺されようとする村の鼻つまみの仇名が「らくだ」、殺し屋がらくだの家を訪ね、「お前は馬五郎」「半次じゃねえか」久六に大家にらくだの馬さんに半次とくれば、そう、古典落語の名作「らくだ」のパロディなのだ。半次は長門裕之、らくだはなんと由利徹だ。
半次とらくだが組んで大家を脅し、大家のうちにあったフグを持ち帰りらくだが食べて死ぬ。らくだに生保の勧誘に来た久六が半次に言われ大家のうちに、通夜に酒と肴を届けなければ死人にカンカンノウをドドンパのリズムで踊らすというのが現代劇らしい。
半次に拳銃で脅され禁酒を破った久六の酒乱振りを小沢昭一が怪演、落語とは反対に久六が主導権を握り半次にらくだの死体を背負わすのがユニーク。途中で死体が勝手に歩き出すのがなんともシュールだ。
大家のところでの死体のカンカンノウでも死体が勝手に踊り出し、オシャマンベのポーズをとったのには笑った、笑った。リアリズムにこだわる山田洋次では描けないなんとも下らなくバカバカしい場面、山田洋次の「運が良けりゃ」の同じ場面より、エノケンの映画より、勘三郎の歌舞伎より、三木のり平、志ん朝師匠の芝居より、メチャクチャ面白い。
見終わってレイトショーまでの時間に駅前の喫茶店で原稿書きしようと歩いていたら、映画ファンの青年があっしの前を歩いているのが小沢昭一だと教えてくれたので呼び止めて立ち話。
「イヤー、あそこまで下らないと面白いねえ。僕はこの映画初めて見たよ」
「エーッ!ご自分でご覧にならなかったんですか?」
「イヤ、あの頃は出る方ばっかりだったから、あの場所へ行ったのも覚えてなかったよ」
「ロケは秋川ですよね」
「なんで知ってるの。ひょっとしてあの映画に出てた?」
「そんなアホな」
チャンチャン、映画ファンの青年にサインを頼んでやり別れた。青年はあっしのファンでもあり、7/23の5656会館にも来てくれたそうであっしの監督・主演の「四谷怪談でござる」を志らくの映画より面白かったと言ってくれたが、キウイよりも落語が上手いとほめられたのと一緒でちっともうれしくない。
レイトショーの「俺の空」は、大財閥の息子が高校卒業と同時に嫁探しの旅に出るおバカ映画でこちらも期待していなかったが、個人的にうれしい映画だった。鹿沼えり、泉じゅんの日活ロマンポルノスターが出て脱いでいるし、CMで売り出したばかりの夏目雅子がCMと同じ水着で特別出演、下手なセリフが今ではオタカラだ。やくざ映画の悪役スター、天津敏がいいやくざで出ているのもうれしいし、懐かしの鮎川由美が見られたのには感動した。彼女は渡辺プロのアイドル歌手で2曲ほど小ヒット、TVにもそこそこ出ていたが後が続かず、この映画でもイヤ味な令嬢役で出演、なんとヌードを見せていた。この後で消えてしまったのね。
あっしが大阪時代、関西TVのスタジオでよく会い淡い恋をした相手なのだ。久保新二夫人、竹村祐佳の話によると彼女、その彼ホテトルの経営者みたいなことをしていたらしいが、懐かしいなあ、逢いたいなあ。
でもこの映画、ヒロインがブス過ぎたけどね。とゆー訳で、とても充実した一日でした。
「猫が変じて虎になる」のような誰も知らない掘り出し物があるので、名画座通いはやめられまへんなあ。
- 2005/10/13(木) 23:42:52|
- 借金男のお気楽日記
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